登山に役立つ話(45)「自然保護問題と私たちの登山②」
痛めつけられた山の自然
自然をまもるためには、これまで、日本の山が、どんな壊されかたをしたのか、「自然破壊史」の復習がたいせつです。
近代化とともに、自然は大きく変えられました。とくに、戦後の復興と高度成長による自然破壊は大規模でした。都市の拡大、道路、新幹線、空港などの建設、河川改修、堤防・ダム建設、海岸埋立て、干拓などがあげられます。
山の自然も破壊されました。電源開発の名のもと、山奥に無数のダムと人造湖が出現しました。原生林を皆伐し、スギ、ヒノキを植林する「拡大造林政策」では、とくに、ブナ広葉樹林を壊滅しました。全国的に山岳観光有料道路がつくられて、山岳景観の核心を切りきざみました。さらに、大規模峰越林道(スーパー林道=全国23路線)の建設もありました。これに便乗して、スキー場、ゴルフ場の建設も、奥地化しました。リゾート法(1987年)施行にともない、ヒューマン・グリーン・プランなどの「国有林貸付け政策」まで登場しました。
秋田県でも、各地での山岳観光道路、林道建設、さらに、一九七〇年代の鳥海山ゴンドラ建設計画、八〇年代の青秋林道建設計画など持ち上がり、行政と市民とのはげしい対立がおこりました。スキー場もいたるところに作られました。しかし、大湯、水晶山、森吉、乳頭、田沢高原、千畑などのスキー場が閉鎖し、自然破壊の跡だけが残っています。地域振興の美名に踊らされた結果です。
山岳過剰利用
(オーバーユース)問題
50年代には、日本マナスル隊の初登頂で登山ブームが起きました。
山には、ゴミの散乱、踏みつけにともなう植生破壊の裸地化、野生動物への悪影響、登山道・山小屋の荒廃、水質汚染などが大問題となりました。
いま、「百名山」ブーム、「ツアー登山」流行、高齢者の登山ブームなどで山はにぎわっています。山の過剰利用ということでは、50年代のブームといっしょです。それだけに、私たちの、山岳利用と自然保護のバランスをどうとるのかが、たいへんに重要な問題となります。
山楽会の月例登山のように、ほぼ四十人もの大人数の登山隊を編成するときには、自然との折り合いを、どうつけるかがとてもだいじになります。次回は、このことについての具体的な提案をします。


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