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2008年9月 8日 (月)

八幡平

Photo   心配されたお天気

 八月二十八日(木)、早朝に男鹿市を出発した男鹿観光バスは、途中で参加者を乗せながら、秋田駅東口に到着し、五時三十分に、八幡平に向けて、予定どおり出発しました。秋田を出ますと、後は協和、田沢湖、大沼で、数人のなかまをお迎えするだけです。
 道の駅「協和」で小憩。きょうの天気予報は、午後から雨、雷を予告していましたから、とても心配です。山は、平地より数時間早く天候がくずれて、遅くまで残ります。ひさしぶりに参加した加賀谷幸男さん、三浦強さんが「悪天候を背負ってきたのではないか」と悪口をいう人もいます。なんでも、悪いことは人のせいにしたがるものです。バスのフロントグラスには、雨つぶが叩きます。
 昨年の山楽会登山は、とてもいいお天気にめぐまれました。尾瀬ガ原で雨に降られたくらいでした。「雨具は使ったこともない」と豪語する人もいるくらいです。それに比して、ことしの山楽会登山は、どうも雨気がついてまわります。
 車中からも、山稜にかかる乱層雲をみて、「きょうは、天気が不安だ」の声、また、「おれたちの行くところ、よいお天気がついてまわるのだ」という、根拠希薄な楽観論も。
 斎藤重一リーダーから、「資料」にもとづく、八幡平の説明がありました。火山の博物館ともいわれる八幡平は、たいへんに興味ぶかい山域なのだそうです。

  R341ぞいに、八幡平に入る

 バスは、玉川ダム湖沿いに溯り、玉川温泉を右にしてやがて大場谷地を過ぎます。ことし春に登った焼山が雲のなかに望まれました。
 道路左右のブナ林は、どことなく秋の気配です。林間のオオカメノキは、早くも色づいています。ナナカマドの赤い実も。トロコから、八幡平アスピーテ・ラインに入ります。
 大沼の八幡平ビジターセンターで小憩。スキー場の駐車場で、鹿角より参加の成田伸世さん、田中正美さんが合流しました。蒸の湯、大深温泉分岐を過ぎますと、すっかりオオシラビソ、ダケカンバの原生林帯です。ガスが濃くて、視界はよくありません。
 それでも、秋田・岩手県境が近づくと、岩手山の中腹から、裏岩手の山なみが見えました。頂上駐車場は通過して、九時には、茶臼口(1360m)に到着。
Photo_2  ただちに、登山準備をします。道路わきで、場所が手狭なために、諸打合せなどは一登りしてから茶臼山荘前でおこなうこととし、九時二十七分、一班を先頭にして登山開始。天気、曇り。

 大きな緑の樹海、茶臼岳の絶景

 茶臼山荘(1550m)までの急坂で、汗まみれになりました。登山道のかたわらには、ヤマハハコ、エゾオヤマリンドウ、イワオトギリ、ミヤマアキノキリンソウなどがいっぱい咲いていました。みな秋の花です。アカモノは、名のとおりの赤い実をたくさんつけていました。茶臼山荘着、十時二十三分。天気は薄曇り、小屋内の寒暖計の温度は摂氏十七度。
 小屋前の広場で、簡単なセレモニーです。今回初めて参加した鎌田光雄さん、工藤俊悦さんが、高田博さんから紹介されて、大きな拍手で迎えられました。
Photo_3  成田伸世さんから、八幡平についての「解説」がありました。成田さんは、八幡平の「ぬし」です。さらに、成田さんの引率で、茶臼岳(1578m)まで空身で全員が登りました。 
Photo_4  茶臼岳からの展望は、岩手山から、姥倉山、源太ガ岳、大深岳、諸檜岳などの裏岩手の稜線が一望できました。濃い緑の原生林に白い雲がかかり、とても幻想的でした。小屋の前にもどり、全員で記念写真後、十一時、黒谷地をめざします。空からは薄日がさしてきました。朝の、お天気の心配はどこへやらです。

 草もみじの始まった黒谷地湿原で昼食

 十一時四十分、黒谷地湿原(1446m)に到着しました。湿原では、もう草もみじです。そして、白いウメバチソウがたくさん咲いていました。木道の両側には、アオモリアザミがたくさんありました。
 班長会議を開き、お天気を考えて、八幡沼の陵雲荘まで足をのばすか、この黒谷地で昼食とするかを相談し、ここで昼食休憩とすることにしました。Photo_9
 十二時三十分まで、広い木製の休憩場所に陣取って昼食です。照らず降らず吹かずの、上天気です。さすがに、この時季、私たちが休憩を取っている一時間近くの間、一人の登山者も来ませんでした。おいしい昼食、たのしい会話。
 源太雪田に長く連なったまま、成田伸世さんの説明を聞きました。このあたりでは、エゾツツジなども増えているのだそうです。花の時季にも来てみたいものですね。足もとには、ウメバチソウ、イワオトギリ、エゾオヤマリンドウがたくさん咲いていました。九月に入り、霜が降りたりすると、一気に冬への装いに変わることでしょう。

 八幡沼、ガマ沼、頂上をめぐる

 源太森(1595m)の横、十三時十分。八幡沼の北側を通り、陵雲荘に十三時四十分着。Photo_11 佐藤征子さんが転んで、手首に軽い捻挫みたい。「救護班」の訓練になりました。十四時十分まで休憩。小屋と沼を入れて写真を撮りました。
Photo_7   階段状の斜面を登りきると八幡沼展望台、ガマ沼展望台。ガマ沼は濃い青色の水がたたえられていて、水底に引きこまれそうな気がします。水底には、複数の噴火口の跡があるといいます。
 十四時十五分、八幡平(1613m)頂上に着きました。展望台は、周りのオオシラビソが大きくなって、あまり展望がよくありません。大きな「八幡平頂上」の道標の裏には、「小林英三」サブリーダーの名前が、立派に彫りつけられていました。たいしたものです?
 メガネ沼、鏡沼を左に見ながら、頂上駐車場に待っているバスにむかい降りていきます。もうこの辺は、ハイヒールでも歩けそうなりっぱな石畳道でした。
 深田久弥『日本百名山』では、この八幡平と、霧ケ峰、美ヶ原の三つを「逍遥型山岳高原」として紹介しています。

 山の湯「藤七温泉」に

 十四時四十五分、バスに着きました。着替えず、履き替えず、すぐにバスで藤七温泉(1400m)へ向かいます。一滴の雨にも降られず、衣服も靴も汚れていませんから、こういう芸当ができました。
 十五時三十分まで、館内、露天の好き勝手な風呂に入りました。設備はいまひとつですが、むしろ山の湯らしい気分で、大満足でした。いくつもある露天風呂を経巡る人もいました。ここは、東北地方第一番の高所にある温泉だそうです。
 帰りのバスでは、いつものように、参加のみなさんの、たのしい感想が語られました。とくに、鳥博士加賀谷幸男さんからは、今回の八幡平山中でいき会った鳥たちについての報告がありました。ウグイス、メボソムシクイ、ノスリ、ホシガラス、ウソなどです。
 バスは、大沼で鹿角のお二人を降ろしたあと、一路、往路をもどりました。雨も降ってきました。遠く、雷光も光りました。車中の感想では、多くのみなさんが、「私の力が、上天気を呼んだ」といいました。リンドウにかかわる「純愛物語」を紹介してくださったり、話は尽きませんでした。
 やがて、秋田市内に入ったバスは、つぎつぎに土砂降りのなかへお客さんを降ろしていきました。
 秋田駅東口には、予定どおり、二十時に到着しました。

Photo_8

登山に役立つ話39 (「登山講座改題)

 ぜひ読みたい二冊の図書!

 最近の秋田県内の出版から、二冊を紹介します。山を歩く人にとって、ぜひ、手元に置いて、愛読してほしい本が出ました。ご紹介します。

 『ガイドブック 新・花の山  秋田駒ケ岳・乳頭山を歩く
 (改訂版)』

 花の時季に秋田駒ガ岳、乳頭山を登山する人には、とても役立つ一冊です。手元に置いて、カラー写真を見るだけでも楽しくなる本です。
 この本は、はじめ、一九九八年七月に刊行されました。その後、利用者のニーズに合わせて版を重ね(第一、第二刷は、なんと、計四千五百部を完売)、第三版として、ことし春に刊行されたものです。
 わが山楽会は、ことしは、四月に乳頭山、六月末に秋田駒に登りました。花いっぱいの秋田駒ガ岳で、多くの花々に会いました。このときに登ったみなさんが、この冊子を手にしていたら、山への興味は、もっともっと深まったかもしれませんね。単なる「図鑑」とは違う、よく工夫された、登山者のためのよい本だと思います。[発行・田沢湖観光協会/オールカラー 111ページ/定価千五百円]

『山の人生』(白神山案内人・   市川 善吉、聞き手・簾内敬司)

 聞き手・簾内敬司さんによる練り上げられた文章の、すばらしい一冊です。藤里町真名子に、一九三一年に生まれた市川善吉さんは、幼児から炭焼きの父を手伝い、小学校を出てから営林署に勤めました。いまは、かつての経験を生かしながら、自然保護指導員などを勤め、白神山地の自然をまもる仕事をし、「白神山地の案内人」を勤めます。
 作家簾内敬司さんとの一問一答は、藤琴と白神の歴史にまで触れて、山を愛する私たちの心をゆさぶります。私は、山人の「聞き書き」として、かつて、尾瀬・奥只見の猟師たちに語らせた『山人の賦』(白日社刊)の五巻を愛読していますが、それにも勝る立派な本です。
 山楽会員のみなさんへ、愛読を、つよくおすすめします。
[発行・北羽新報社/「北羽ブックレット」№1/84ページ/定価七百円]

  追記 八月の八幡平登山のときに、山楽会のみなさんから、『山の人生』をたくさんご購入いただきました。ありがとうございました。  (S)

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